進行乳がん手術後4年経過の今思うのは、がんはステージより術後の病理検査結果が重要

今日はがんについての記事です。
野球関連のブログなので、興味のない方はスルーして下さい。

先週9日、歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが会見を開き、
奥様の小林麻央さんが進行性の乳がんである­ことを明らかにしました。

ワイドショーなどでも、連日、この話題が取りあげられ、
世間一般にも、改めて「がん」に関心が集まりました。

私も、今から4年ちょっと前の2012年3月に同じ乳がんで全摘の手術を受けた身なので、
この会見には衝撃を受けました。

麻央さんが33歳とお若いということ、二人のお子さまがまだ小さいということもあり、
ことさら、その症状が心配です。
今後の治療で、どうか快方に向かわれることを心からお祈り申し上げます。

会見で、海老蔵さんは、
「進行具合はかなりスピードが速くて、なかなか大変なものではないか」と
お医者さんから説明を受けたこと、
「比較的深刻ではありますが、抗がん剤治療をやっています」
と話し、ステージの公表は控えられました。

がんと診断されてから1年8カ月を経ているにもかかわらず、いまだに手術はなされてなく、
現在は、手術をする方向で、抗がん剤治療をされているとのことでした。

この辺の情報から、専門医の間でも少し見解が分かれています。
ステージ3程度であれば、放射線治療や抗がん剤で治療してから手術に踏み切る
ということはありますが、それにしても1年8カ月という期間は長すぎます。
これまで手術できなかったのは、乳がんが他にも転移している可能性が高いとの
専門医の見解も多くあります。

がんがどれくらい進行しているのかという進行度合を表すものとして
一般的には「ステージ」という指標で分類されます。

がんのステージは、ステージ0からI→II→III→IVとあり、
ステージIVは、いわゆる末期がんと言われています。
(以後、数字は0 1 2 3 4を使います。) 

以前から、がん関連のキーワード検索で当ブログに来られる方がいらっしゃいますが、
あの会見以降、それが増えてきました。

ということで、今回は私の体験から感じたことを書いてみたいと思います。
少しでも、同じがん患者として参考になればという気持ちからです。

私の場合は、初期ではなく、ステージ3bの進行がんでした。
ステージ別の症状は、ここで書くと長くなるので、「乳がん ステージ」で検索してください。

ステージ3bは、大まかに言うと、
しこりの大きさや、わきの下のリンパ節への転移の有無にかかわらず、
しこりが胸壁にがっちりと固定しているか、皮膚にしこりが顔を出したり
皮膚が崩れたり、皮膚がむくんでいるような状態。

患者によってそれぞれ症状は違ってきますが、
私の場合は、胸の皮膚の表面にしこりが出てきていました。
気づいた時には、小さかったので、イボか吹き出物くらいに思っていましたが、
ある日、そこから出血しているのを見つけ、これはおかしいとなりました。

私の家系はがん家系で、私の両親はがんで他界、母方の両親もがんでした。
母は同じ乳がんで、発見したときは既にステージ3~4に近く、
がんの大きさも大きく、わきの下のリンパ節にも転移していました。

術後、抗がん剤治療を施し、頭髪が抜け落ち、吐き気が凄くて体力が消耗し、
随分、苦しんでいた姿を今でも思いだします。
がんの発症は、私と全く同じ61歳のときでした。
それから数年後に肺、骨などに転移し、8年後に亡くなりました。

がん家系にもかかわらず、私は大の医者嫌い、検査嫌いで、
あらゆるがん検診は一度も受けたことがありません。
見つかった時には、もう終わりなんだろうって腹をくくっていました。

しぶしぶ乳腺専門の診療機関で検査の予約して、1ヶ月以上も待たされて診察となりました。

私の場合は、針生検を行い、様々な精密検査を受けた結果、ステージ3bの浸潤性の硬がんでした。
決して早期ではなく進行性の乳がんです。
診察の際に、母も乳がんで、数年後に転移したこと、
肺への転移が見つかる前には、背中が痛いとしばしば話していたことも話しました。
私も、時々胸の後ろの背中がチクチク痛むことがあることを話すと、
骨シンチという検査も追加で行われました。

その骨シンチの結果は、何と骨盤に転移の疑いがあるとの所見が出て、
再度、別の検査を行い、その結果は、転移は見られないということになりました。
どうも、この辺は、よくわかりませんが、
転移があれば、末期がんだわと、一時は覚悟を決めたものでした。

ここからが本題です。
手術が無事行われ、退院から約3週間後に、
手術で摘出したがん細胞の病理検査の結果を聞きに行きました。
その病理検査の結果で、その後の治療方針が決まります。
この時が、最初にがんとわかった時より不安でドキドキしましたね・・・。
医療の進歩で、昔とは違うとは言え、抗がん剤治療だけは勘弁してほしいと思っていましたから。


病理検査の結果は
腫瘍径   0.8cm ×0.5×0.6
がんの種類 浸潤性乳管がんの硬がん
切除断端  陰性(-)
波及度   乳腺 脂肪 皮膚
リンパ管侵襲 -(ly0)
血管侵襲(静脈侵襲)-(vl0)
エストロゲンレセプター(ER) 陽性(+)99%
プロゲステロンレセプター(PgR) 陽性(+)60%
組織学的悪性度(核異型度) グレード1
HER2/neu   FISH(増幅なし)
MIB-(Ki-67)細胞増殖能 10%
リンパ節転移 0

上の組織学的悪性度(核異型度)とは、がん細胞の顔つきと言われ、
グレードは3までありますが、グレード1は人相がいいそうです。
各表記の意味がわからなければ、検索すればすぐ出てきます。

以上の検査結果、私の場合は、手術前にはステージ3bであったにも関わらず、
リンパ節への転移はなく、リンパや血管にも侵襲していない、比較的良好なものでした。

また、私の場合は、女性ホルモンのエストロゲンの刺激によって、増殖する乳がんであることから、
術後は、ホルモン療法をすることになり、
「アリミデックス錠1mg」(アストラゼネカ株式会社)を1日1錠服用するだけの
非常に予後のラクな治療となりました。
途中からはエルメッドエーザイ(エーザイグループ)のジェネリック医薬品 
アナストロゾール錠1mg「EE」に変更しています。

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現在は1年ごとに精密検査を行い、半年ごと腫瘍マーカーを調べる血液検査を行っています。
術後、毎年のCTや超音波検査ほかの精密検査では、特に異状は見られず、
腫瘍マーカーも正常値内となっています。

手術前には、覚悟を決めていたものの、術後は、ウソのように軽い病理検査の結果が出て
嬉しい驚きでした。

私は極めて運がいいのかもしれませんが、こういうこともあるわけです。
逆に、初期のがんと診断されても、術後の病理検査で、悪性度が高い場合もあります。
がんは人それぞれ、症状がずいぶん違っています。
単純にこうだからどうだとは言えないものなんでしょう。

なので、転移があれば別ですが、
ステージが高いからって、すべての患者が深刻な状態とは限らないってことでしょうね。
手術をした場合は、術後の病理検査の結果で、がんの悪性度が判明し、
そのデータが、がん治療には最も重要で、その後の治療方針が決まります。

手術前に、必要以上に悲観することはストレスを溜めるだけでよくありません。
前向きにがんと闘う気持ちで挑むことが大切だと感じました。

私は受けませんでしたが、いちばん大事なことは、がん検診を積極的に受けて、
早期発見に務めることでしょうね。

ただ、乳がんは遠隔転移が多いとも言われています。
わきの下のリンパ節への転移が私の場合は0ではあっても、
すり抜けてどこか違う場所にがん細胞が飛んでいる可能性はゼロではありません。
これからも、そのへんを十分気をつけながら、
与えられた老後を心穏やかに過ごしていければと思います。

最悪、母と同じ道を歩むことになれば、あと数年の命ですが、
「憎まれっ子世に憚る」とも言いますから、私の場合は、もうちょっと長生きできそうな気がしています。
あと、あのいまわしい一件がまだ解決していないので、
このまま死ぬわけにはいかないとの強い気持ちがあります。

by misty2011 | 2016-06-13 16:22 | Cancer

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